取組を考えるうえで大切な視点地域の資源や課題を見つめる

資源を多様な方法でリストアップする

先入観を捨てて、あらためて資源を探す

まちづくりは課題解決とともに、魅力をさらに伸ばす「魅力発見・価値創造」の役割があります。そのためにも、地域の資源を把握することが大切です。

「うちのまちには何もないから・・・」よく聞くフレーズです。先入観はいったん捨てて、もう一度、地域を見直しましょう。

資源探しは、「環境」「モノ」「ヒト」「文化」の4つの視点がヒントになります。

歩いて、聞いて、読んで、探そう

資源探しは「現場を歩く」「人に聞く」「書物や地図を読む」が基本です。

「現場を歩く」際は、複数の人や専門家と一緒に歩いたり、時間や季節を変えるなどの工夫をすると多くの発見が期待できます。

「人に聞く」際は、郷土史に詳しい方やまちづくり活動の実践者はもちろんですが、生産者や所有者など、資源に特に関わりが深い方に聞くことが有効です。

「書物や地図を読む」際は、市町村史のほか、地元企業の社史なども参考になります。また、昔の写真集や古地図などから、今は見えにくくなっていても、磨けば光りそうな場所や風景が見えてくることもあります。

外からのモノサシで地域の資源を再評価する

長く住んでいると、まわりの風景は当たり前のものになり、その価値がわからなくなってしまいます。

外からの新鮮な目で見るからこそ、わかる資源があります。専門家のほか、移住者、観光客、旅行や合宿にきた学生、そして、一度まちの外に出て、戻ってきた人に聞くことも有効です。

何気ないものが、発想の転換で資源になることを忘れない

例えば、高齢化は切実な課題ですが、人生の先輩としての高齢者は、多くの知恵や技術を培ってきており、地域の子どもたちや若者の健全育成を担ってくれる頼もしい人材です。

課題と言われていることを単に鵜呑みにせず、まちを元気にする資源として見直す発想がとても大切になります。

資源探しの視点

環境

  • 例)水田、畑、草地、山、丘、森林、海、湖、沼、川、地形、動植物
  • 例)眺望風景、時間風景(朝日、夕日、星空)、季節風景(春夏秋冬)
  • 例)街並み、並木道、路地、等

モノ

  • 例)農産物、林産物、水産物、特産品
  • 例)歴史的建造物、寺社仏閣、碑、農具、民具、等

ヒト

  • 例)特技・技術のある名人・職人、郷土史家、研究者、偉人、出身著名人
  • 例)仕事柄で得意分野のある人、外国語が得意な人、人脈が多様な人、等

文化

  • 例)民族芸能(祭り、踊り、唄)、伝説、民話、風習、方言
  • 例)地域ならではの食材、郷土料理、食品加工技術、等

課題はマクロな視点とリアルな視点の両面から把握する

手軽に手に入る統計情報を活用する

実感や感覚ではなく、客観的に評価・分析し、マクロな視点で地域課題を把握するために、国や北海道による既存の統計情報を活用します。

各自治体では、分野別計画の策定や各種施策の検討時に、その目的に応じた様々な統計調査を実施していますが、その結果が庁内で共有されていないこともあります。こうした既存の統計調査の成果を活用する視点も大切です。

また、国や研究機関から、だれでも活用可能な地域分析ツールが開発・公開されており、その活用も有効です。

状況、課題の変化を把握する

地域の状況や課題は常に動いています。単年度の統計を見るだけではなく、5年前、10年前と比較し、その変化から、検討すべき課題を見出すことが重要です。

生活実感に基づくリアルな課題を把握する

統計情報の活用は、まちが検討すべき課題の大きな方向性をつかむ上で、非常に大切な取組です。

しかし、リアルな課題は現場にあります。アンケート調査やヒアリング調査を通じて、地域住民の生活実感に基づくリアルな課題とは何かを把握することで、より効果的な解決策を講じていくヒントが得られるはずです。

子どもからお年寄りまで地域の声に耳を傾ける

地域住民と言っても、年齢、性別、住まいの場所、職業、家族構成など、様々です。ある特定の層の声が、必ずしも地域の声を反映しているとは限りません。

目的に応じて、できる限り多様な層にヒアリングをすることが非常に大切です。アンケート調査だけでは見えてこないリアルな課題が見えてくるはずです。

ヒアリングには、個人を対象とした個別ヒアリングのほか、集団ヒアリングという方法があります。

集団ヒアリングは、顔の知れた仲間複数人を対象に懇談形式で行うもので、リラックスした雰囲気で、日常生活で感じている本音を聞けることが期待できます。

農家のお年寄りを対象とした集団ヒアリングの様子

課題解決の手がかりとしての新たな地域分析ツールの活用

地域経済分析システム(RESAS(リーサス))

地域の現状・実態を正確に把握した上で、将来の姿を客観的に予測し、その上で、地域の実情・特性に応じた施策の検討を行う支援ツールとして、経済産業省と内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)が提供するシステムです。様々な統計データが視覚化(見える化)されます。 《URL》https://resas.go.jp/

<主な機能>
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